*HAKAMA JITATE プロジェクト 阿部産業&和井内京子

山形の伝統産業企業と、欧州市場も視野に袴地バッグを開発

山形県河北町谷地のスリッパメーカー阿部産業とタッグを組んで生まれた、
地場産品である米沢織りの袴地を使ったバッグ「HAKAMA JITATE(ハカマジタテ)」。
パートナーの阿部産業には、このバッグに先んじて、同じく米沢の袴地を使った「KINU HAKI」
というスリッパを山形産業試験場と一緒に開発した経験がすでにあった。

このスリッパはグッドデザイン賞を受賞するなど新地場産品開発の成功例となっており、
同社はこの実績と経験をバネに、新たな商品を開発したいと考えていた。

そのパートナーに抜擢され、これを引き受けることは、商品開発と同時に、
「バッグも作れるスリッパメーカーをつくる」ことも意味していた。

「在るもの」をとことん使う
目指したのは、自分が拠点とするヨーロッパ市場への進出も念頭においた商品開発をすることだった。
考えた結果、大型のトートバッグと幅広の底部をもつピクニックバッグを開発することに。
それは丈夫で汚れにくい袴地の素材特性が活かせて、さらに「家の中のものをそのままもって出て、
外でピクニックをしたがる」ヨーロッパ人のライフスタイルに適うもの。

そしてこのバッグには、前出のスリッパに使った絹の袴地ではなく、あえてポリエステルの袴地を採用。
絹を使っていると、ヨーロッパに輸出するときに高い関税がかかってしまうからだ。
さらにポリエステルなら販売価格自体も抑えられるし、より気軽に使ってもらえるメリットも大きい。
そして実際の仕事は、阿部産業の倉庫を隅々まで探索することから始めた。
その理由は、同社のもつ縫製技術だけでなく、芯地などの副資材に至ってもできる限り「在るもの」を使い、
「とことん地場を活性化するものづくりをしたかったから」だ。

こうしてできた機能性とデザイン性を兼ね備えた袴地のバッグは、発表と同時に各方面で評価を受け、
展示会や取り扱いショップが決まりヨーロッパ市場への進出も達成。

Hakama Jitate is also available @ www.pupisolari.com